アルザス食探訪 2(下)

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エギスハイム

2005年4月15日(金)
Aux Armes de Franceでダンナが 食べたソーセージを売っているお肉屋さんに立ち寄ったり、Colmar でショッピングをしてから、残りの二泊の宿を取っている Eguisheim に向かいました。Colmar から車で10分ぐらいで到着です。左の絵の中でいうと、下から中心に 伸びる道から町に入ったのですが、アウトバーンを降りたところから町の入り口までは、道の両脇にはピンクの花をつけた桜の木が並んで植わっていて、その向 こう には、スイスや 南ドイツでもおなじみの、サクランボのなる桜の木が白いお花を沢山咲かせていました。そんな桜の花に囲まれた道を車で通り抜ける時には、「はぁ ~♪」と感激で思わず声が出てしまうほどでした。

エギスハイム

 Eguisheim は、教会とお城を中心に、小さなおうちが城壁のように3重にぐるりと取り囲むように立っている町なので、町の中を散策していると、いつの間にか一周 して最初の場所に戻ってきてしまったりと、もともと方向音痴の私でなくても、方向感覚がおかしくなってしまいます。この古い可愛いおうち達、スイスの古い 農家 なんかを見ても思いますが、天井が低くて部屋の中はとても狭そうで、「昔の人って小さかったんだな」なんていう感想を持ってしまいます。それでも、どのお うちも今でもちゃんと人が住んでいて、家の前にはお花が飾られていたりして、イキイキした印象を与えていましたし、中には一軒まるごと滞在型ホテ ルとして利用 できる旨の広告を出している家もありました。広告の写真によると、中は近代的に改装してあるようで、週末だけの利用は 150ユーロ、一週間の滞在なら 300ユーロがだいたいの相場でした。子供がいて家族で滞在するには、とても便利だろうな~と思って見ていました。

エギスハイム

今回、滞在したのは、町の真ん中にある L’Hostellerie du Château というホテルでした。去年、雨の夜にたった一組のお客さんとして食事をした、 当時ミシュランの1つ星を取ったばかりだったレストラン、Le Caveau d’Eguisheim とは広場をはさんで向かい側です。今夜のディナーは、ドイツからやってくるD夫妻と このレストランで楽しむことになっています。ホテルの部屋は、古い建物をすっごくキレイでモダンに改装してあって、とにかく清潔で素敵でした。比較的夕方 の早い時間にホテルに到着したので、「D達の泊まる部屋も見ちゃおっ!」と言い訳しながら、ドアが開けっ放しになってる、まだ滞在客の到着していない他の 部屋も勝手にいろいろ覗いてしまいましたが、部屋ごとにバスルームのタイルの色の組み合わせが変えてあって、どこもすごく素敵でした。翌朝の朝食の時にわ かったのですが、宿泊客はとにかくドイツ人だらけ。そういう訳で、朝食もフランスにしてはとっても豪華な、ドイツ人も大満足のビュッフェでした。

Caveau d'Eguisheim

さて、ドイツから到着したD夫妻と 共に1年ぶりに Le Caveau d’Eguisheim へ行きました。今回は徒歩でも1分とかからないホテルに 滞在してますから、運転の心配もありません。サービスをしてくれるのは、シェフのお母さんと思わしき年配の女性とシェフの奥さんらしい若い女性です。 この奥さん、去年はドイツ語はほとんどできなかったのですが、一年ぶりに訪ねてみると、ドイツ語でおもてなしをしてくれました。星が一つついて、 ドイツからのお客さんが沢山みえるようになったのでしょうか。それにしても、仕事して子育てしながら(翌日ベビーカーを押してるのを見かけたので)、 必要とはいえドイツ語の勉強もして、ちゃんと上達してて、すごいなーと思いました。ただ、お料理の説明で「もも肉」と言いたいところが単語が思い出せない らしく、 自分のお尻の下辺りをパンッ!と叩いて、「ここの部分!」なんて言ったりして、逆にすごく微笑ましかったです。 お料理は、相変わらず美味しく、初めて訪れたD夫妻は感激していたのですが、メニューの中身は去年とほとんど変わっていなかったし、出てくるアミューズも 「ミニ・フラムクーヘン」と 「グージェール」と、去年とまったく同じで、私達にとってはあまり新鮮味がなくて、期待しすぎてたのもあると思いますが、ちょっとガッカリしました。 でも、よく考えてみたら、同じような季節に一年だけ間をあけてやってきたんですから、ガラッとメニューが変わってる方が驚きですよね。 去年もメニューを見た時に気になっていた、ベッコフ(Baeckeoffe)という牛、豚、羊肉とお野菜を煮込んだお料理は48時間前に予約をしなきゃい けないんです。 このお店の雰囲気は好きだし、自家製ハムを作ったりとお肉料理がすごくお得意なようなので、次回来る時には、ぜひこのベッコフを食べてみたいと思います。

Le Caveau d’Eguisheim
3 Place de Chateau-St-Leon 
tel: 03 8941 0889

Auberge du Rempart

その後、町の中の 「Bar」と看板 を出していたバーへ行って、さらに深夜までワインを飲みながらお喋りをしていたのですが、どこでも 誰とでもすぐに 仲良くなるのが、ダンナの幼馴染D。ここでもキューバから仕入れてきた葉巻を取り出して「これがなくなるまで居させて」とか言いながら、途中でわざと火 を消したりして 時間稼ぎしつつ、早く店を閉めたそうなご主人となんだかんだ言って楽しそうでした。ここで出してもらったワインは特別ではないにしても、普段に飲むには軽 くて飲みやすくて 美味しかったので、どこで買えるのか聞いたら、「兄弟が売ってる」とのこと。「キューバと同じだな。みんな兄弟なんだから。本当に明日買いにくるか ら。」とか冗談とも本気とも分からないいつもの調子で言ってたDですが、実際に翌日さっそく店に現れた私達、正直「また来た!」という迷惑顔をしたご主人 に、兄弟 のところからワインを持ってきてもらって、売っても らったのでした 。ご主人が食べようとしていた、せっかくの美味しそうな賄いの「シュパーゲルとハムのパスタ」が冷めてしまいました。ごめんなさい。
このお店はバーはほんの片隅だけで、簡単なホテルと 家庭料理を出すレストランが本業のようでした。前の晩に私達が訪れた時には、ちょうどプジョー工場の社員食 堂の メンバーという女性中心の大きなグループが、お店を借り切って食事会を楽しんでいました。もちろん、お喋りなDがどういうグループなのかをご主人から聞き 出したんですよ(笑) 。簡単に食事するには、すごく良さそうなお店でしたし、お宿のお値段もとても良心的でした。

Auberge du Rempart
3 Rue du Rempart Sud, 68420 Eguisheim
tel: 03 8941 1687

Jean-PaulGilg.jpg

2005年4月16日(土)
 お昼ごろ、有名なマンステールチーズの産地、Munster へ行きました。大きな教会の上には、なんとコウノトリの巣が4つものせてあって、どの巣もちゃんと住人がいる満員御礼状態。残念ながら遠目すぎて、私の古 いデジカメではキレイに撮れませんでした。町の広場でちょうどマルクトをやっていたので、そこのチーズスタンドで、いろいろ試食させてもらって、沢山の チーズを買いました。もう見るからに古そうで、私には「うわっ!納豆の味!」という第一印象を与えたチーズを、やらたDの奥さんAが気に入って、ものすご い大きな塊りで買っていました。彼女に今度、納豆を食べさせてみようかな。結構気に入るかもしれません。さて、そのチーズスタンドのおばさんが、自分の農 家がやってるレストランのチラシを店先に置いていたので、お昼はそこへ行ってみることにして、Munster の町の中を少し歩いてみたのですが、上の写真のケーキ屋さんがとてもキレイでした。
こ の建物の屋根裏部屋の窓らしきものからは、窓から上半身を乗り出して、落としかけているクグロフをつかまえているケーキ職人さんのモチーフがくっつけてあ るんですよ。 ここで、D夫妻は4月中に誕生日のある親戚の人達用に、いくつかチョコレートの詰め合わせを買い、私はアルザスのフルーツケーキ、Berawecka(ベ ラヴェッカ)を買ってみました。うん、想像していた通りの味です。それにしても、ベラヴェッカって、スイスの Birnenweggen(ビーレヴェッケ)みたいな名前で、前にも思いましたが、アルザス語ってどこかスイス語に似たところがあります。

 去年、山道をどこまでも走って、不安になったころに辿り着いた農家レストランのように、このレストランへ辿り着くには、ど こまでも山道をどんどん走らなけ ればいけませんでした。でも、その道の途中にも Ferme-auberge (農家レストラン)と看板を出しているところをいくつも見かけました。私達が食べたレストランは、Ferme-auberge ではなく、お味もまあまあでした。Aux Armes de Franceを紹介してくれた、ダンナ実家のお向かいのおじさんも、この近辺には、農家レストランが沢山あるという話はしてい たそうで、その中でも、おじさんのお薦めがあったそうなので、次回はぜひそこに行ってみたいと思います。ちなみに、Ferme-auberge と名前に冠するためには、出す食事の材料のうち70%を自分のところで生産していないといけないそうです。

 さて、午後からは、こちらもお向かいさんのお薦めである Turckheim にある大きなワイナリーに行って、ワインの買出しです。 ここでは地域のいろんな生産者のワインが試せます。私が大好きで、きっと日本人女性の口にあうと思うゲヴュルツトラミネールのハーフボトルを 沢山買ってきましたので、夏の帰省の時に日本に持ち込んでお土産にします。知り合いの皆様、お楽しみに♪
うちも結構たくさんのワインを買いましたが、Dの豪快さは相 変わらず。「それ全部クルマに入るの?」と思うぐらい沢山のワインの箱を台車に乗せて買いまくっていました。先にお会計をした私達、ちょうどワイナリーの 50周年ということで、良いワインを一本プレゼントで頂きました。それをDに伝えると、「A(奥さん)!、もう一台、台車を持ってきて!2回に分けて会計 して2本もらうぞ!」とか言ってるの。Aは無視したので、彼の計画は実行されませんでしたが、駐車場で待ってた私達のところに現れたDの手には4本のプレ ゼントワインが!もー、一体どうやって4本も貰ったの(笑)?人懐っこくて、お喋りが上手だと得することが多いのねー(笑)。

Cave Vinicole de Turckheim
CAVE DE TURCKHEIM

16, rue des Tuileries, 68230 Turckheim
tel: 03 8930 2360

さて、夜は、こちらも去年一度来ているレストラン、Restaurant des Cascadesです。緑ミシュランのお薦めで、 週末の夜だけ、というフラムクーヘンが有名というところ。去年は土曜日の昼に行ったので、フラムクーヘンにありつけませんでした。 今回は前日の夜に電話して、きちんと確認。D夫妻にもそこで良いのかどうか聞いてから予約しようとしたら、お店の人に「もうほとんど 満席なので、予約したいのであれば今決めてください。」と言われたほど。街燈もちゃんとついてないような、あんな辺鄙な場所にあるレストランにいざ到着し てみると、 お店の前には車がずら~~~!と並んでいて、もちろんレストランは満席!初めて来るD夫妻には、それがすっごく印象的だったようで、そんな中にちゃんと予 約した 席が空いていて感激していました。家庭的な雰囲気とはいえ、お値段はそんなに安いとはいえない場所なんですが、フランスはちょうど春休みだということで、 家族で食べに来ている人でお店はごった返していました。それにしても、フランス人ってドイツ人よりずっと「食」にお金を使うんですね。今回の旅行でも 幾度も感じたことでした。前菜にアルザス風のハーブたっぷりのエスカルゴをいただいて、メインにフラムクーヘンを注文してみましたが、うーん、正直言って そこまで 有名とは私達には感じられない味でした。4人の感想は一致していて、ダンナの実家あたりから行く国境付近の、農家の庭先フラムクーヘン・レストランとか、 こう言ってはなんですけど、 Dの自宅の庭にレンタル石釜を設置してみんなで作った時のフラムクーヘンの方が美味しかったです。

2005年4月17日(日)

 さて、今日はいちおうホテルで朝食を食べた後に解散という予定になっていました。そうしたら、ダンナとDが「Caveau d’Eguisheim で飲んだワインを 買って帰る」と言い出して、またワイナリーに行くことに・・・。しか も、最初は買うワインが決まっていたはずなのに、結局日曜の朝からいろいろ飲み比べて いるんですよ。 お店の女性もすごく熱心で、ダンナ達もいろいろ勉強になったようでした。6本入りの箱を2箱ずつ買うと、ここでも私達ご婦人達の好きなタイプのワインを一 本プレゼントで くれると言うのです。Aの希望は簡単だったのですが、私が「甘めのゲヴュルツトラミネールが好き。」なんて言ったものだから、彼女はかなり高価なワインを 私にプレゼント することになってしまいました。ワインの専門家の彼女としては、言い出した手前、ちゃんと希望に沿うものをあげたかったのでしょうけど、私はそこまで詳し くないのだし、 なんだか悪いことしちゃったわ・・・・なんて思いつつ、とっても嬉しかったのでした。Eguisheim は小さな町ですが、約35軒もワイナリーがありました。産地に出向いて ワインを買うのは、少しお安く手に入るとか、いろいろ味見をしてから決められる、ということだけじゃなくて、生産者自身、もしくはとても身近な方からワイ ンが買えるので、 その情熱が伝わってくるし、何より「ここまで買いに来てくれてありがとう」ということか、どこでも気前よく良いワインをプレゼントでつけてくれたりして、 買ったワインにも 私からの情がうつって「大事に飲もう」という気になりました。私がいただいた甘めのゲヴュルツトラミネール、これは感激の余韻が残ってるうちに飲むのが一 番だと 思ったので、 スイスに帰ってすぐに開けていただきました。とっても香り豊かで甘くて美味しかったです。感謝の気持ちをこめて、こちらにそのワインの銘柄とワイナリーを ご紹介させていただきます。

Léon Beyer, Gewurztraminer, Selection de Grains Nobles 1990
(日本で買ったら、ハーフボトルなのに5000円近くするそうです・・・汗)

Léon Beyer 
8, place Château St Léon, 68420 Eguisheim
tel: 03 8947 1012

今回の旅はこれでおしまいです。ここまで読んでくださって、ありがとうございました。