9:役所ってとこは・・・

2002年1月
場所: ベルリンの住民局「免許書き換え課」
被害者: みちえ?(笑)

私の友達ならご承知の通り、私はオートマ限定のペーパードライバーです。
ベルリンでは公共交通機関が発達しているため、運転できなくて困ることはありません。
それでも、一応引っ越してきた当初は、免許の書き換え申請をしようと警察に行きました。そしたら、視力検査をしてくるように言われてしまい、その時はまだ 旅行保険みたいなのに 加入していたため、なんだか面倒に思えてきて、 その上、その後仕事(修業)などで超多忙な生活が始まって、 免許の書き換えはほったらかしになってしまっていました。

修業が終わって2年半ぶりに日本に里帰りした際に、日本の免許を更新しました。 日本の免許更新って・・・・辺鄙な場所にあって時間はかかるし、3年(5年)ごとにお金はかかるし それも一体このお金何に使うんですか!って感じだし、関東某 I 県なんですけど 自動車安全運転センターの人の態度のでかいこと!・・・・早く一生もののドイツの免許に書き換えしてしまおう!と決意したのでした。

さて、ドイツに戻ってきた私、決意は忘れていました。 そのまま3ヶ月が経ち、2002年元旦 「スイスに住んだら運転できた方が楽しそう。私、教習所で運転練習するわっ!」 と今年の抱負を語ってみたのでした。 即行動に移さないと、きっとまたほったらかしになる!と思ったので、1月3日に教習所に行ってみました。 免許の書き換えが必要なことは分かっていましたが、せっかく練習するんだったらマニュアル運転できるようになりたい! まずは話を聞いてみなければ、と思ったのです。

教習所のおっちゃんは、「まず免許を書き換えておいで」と住民局の住所や受付時間を書いた紙をくれました。 その足ですぐ住民局という場所に行ってみました。でっかい警察の建物でした。 近所の警察で書き換えた友達は3ヶ月もかかったって言ってたけど、もしかしてここやったらもっと早いんちゃうの?ぐふふ と、ちょっと嬉しかった私でした。

担当の部屋へ行ってみたところ、申請書を一緒に書きこんでくれて、 「斜め前から写した証明写真、免許のコピー、パスポートのコピーを持ってきてください。」と、言われました。 あれ?免許のコピーって言っても全部日本語で書いてあります。申請書に内容は自己申告で書きます・・・・これならテキトーに書くこともハッキリ言って可 能・・・。 「翻訳はいらないのですか?」と聞いたら、「要らない、絶対必要ない!」の一点張り。 友達は日本大使館で翻訳してもらって高かった、と言っていたので、 でっかい警察の住民局やったら、翻訳代も浮いたかも?!ぐふふ と、またちょっと嬉しかった私でした。

「どのくらいで書き換えはできるのですか?」と聞くと、 「8週間です。8週間経っても何の連絡もなかったら、ここに直接問い合わせてください。」と、 意外にもすんごいテキパキした回答をされて、直通の電話番号まで書いてくれたのでした。 やっぱり小さな警察より早いやん!と、ますます喜ぶ私でした。

でもまぁ、ここはドイツでしょ。きっと来週ぐらいに、「翻訳を持ってきてください」なんて手紙が来るのよ~ と、友達とも笑っていたのですが、 そんな手紙は一向に来なかったのです。 そんな話をみんなにしていたら、「翻訳って要らなくなったって聞いたことあるよ」と言う人もいたりして、 私は翻訳不要説をどんどん信用していっていたのでした。

時は経ち、2月19日。ポストに私宛ての見なれない差出人の手紙が1通入っていました。 ??? 開けてみて分かりました。住民局からです。 おぉー!もう書き換えができたのかな? と、思ったら 「1月3日にあなたが出した免許の書き換え申請に翻訳が欠けています・・・うんぬん」

どう?この書きよう! これが役所よね、ほんま。まるで私の過失みたいな! それも、5週間経ってから気づくんかいなっ! はいはい、一回信用した私がばかでした。 怒りを抑え、翻訳をしてもらいに日本大使館へ向かいました。 翻訳料 21ユーロ也。

仕事があったので、数日後に翻訳を受け取りに大使館へ行ったところ、翻訳と一緒に 「これにも目を通しておいてくださいね」と、「ドイツにおける自動車の運転と免許証について」という紙をくれました。 読んでるとぉ~・・・・「日本の運転免許証に関しての注意点」という項目があって、

「一時帰国中に、有効期限の切れた日本運転免許証を更新すると、交付年月日と  免許取得日が同じ日付になり、ドイツ滞在中に日本で取得した運転免許証と判断されます。  こういう場合、書き換え申請書類として更に、免許証を初めて取得した日を証明する運転免許経歴証明書が必要になります。」

と、どうも私に当てはまることが書いてあります。 こういうこと先に言ってくれないとねぇ。もう21ユーロ払ってしまったがな。 あ゛ーーーー面倒くさっ!とにかく翻訳を出してしまお! 後からあれこれ言われるのは、もううんざり。ケチつけられたら、スイスで書き換えするわ! そしたら、私の免許の発効日より住み始めた日の方が後になるし! それにしても、この「免許更新」というシステムどうにかしてー!弊害出まくりやわ。国民にとって良いことあるんかいな。

住民局に行って、「翻訳が欠けてます」という手紙を見せながら翻訳を提出し、 「1月3日に私から、翻訳は要らないのか聞いたんですけどね。あなた、要らないって言いましたよ。」 と、しっかり文句を冷静に言うことを忘れてはいけません。 担当の彼女は、私の申請書と翻訳をじっくり見て、「あなた、オートマ限定にしたいの?」と聞いてきました。 がくっ。 今、あなたは何を読んでおったんやー!「あのー、私の免許はオートマ限定なんです。翻訳のここに書いてあるでしょ?」 そしたら、「あぁ、だから翻訳が必要になったのよ。」と意味深な台詞をはきました。 オートマ限定じゃなかったら、翻訳は必要なかったのでしょうか。よく分かりませんが、もしかしたらそうなのかもしれませんね。 もうどうでもいいです。 彼女は、「はい、では書類は揃いました。」と言って去って行こうとするので、 私が、「あとどのくらいでできるんですか?最初は8週間ということでしたが、また8週間かかるってことはないですよね?」 と聞くと、「まさかー!2~3週間です。3週間後に連絡がなかったら電話してください。」とのことでした。

「日本の運転免許証に関しての注意点」について文句を言われるかな?と思ったのですが、 何事もなく日々は過ぎていきました。もしかして、気づかずに書き換えしてくれるのかな? それなら、らっきぃ~。 と、私は思っていたのですが、本当に何事もなく3週間も過ぎてしまったのでした。

きっちり3週間後、ポストに手紙が入っていないことを確認して、早速住民局に電話をしました。 私の名前と生年月日を言わせた後、「少々お待ちください」と言ったまま・・待たせる待たせる・・・待たせるっ(怒)。 かすかにゴソゴソと書類を捜しまくるような音がするので、忘れられてるわけではないことがわかります。 しばらくして、 「今週中!今週中に手紙が届きますから。そこにドイツの免許を受け取るのに必要なものが書いてあります。」 と言われ、「分かりました~。ありがとうございま~す。」と、電話をきりました。

しっかし、これって・・・・明らかに今まで何もしてなかったって感じ! 私から電話しなかったら永久にあっちからは何も言って来なかったような雰囲気だったわねぇ。 こんな仕事で給料もらってて悪いと思わないのかなぁ。

その翌日。 お昼ご飯を食べていたら、電話が鳴りました。 住民局から。 「あなた、昨日電話してくれたわよねぇ?・・・・あなたは99年からドイツに住んでることになってるけど、 免許の発効日が2001年なの。これはどういうこと?」 「あ゛~、それは日本の免許には、更新っていうシステムがあるからなんですー。」 「じゃぁ、あなたはドイツに住む前から免許は持っていたんですよね?」 「そうですよ。」 「では、それを証明する書類を持ってきてください。」

んもーーーーー!いつもいつも行く度に「あれ持って来い、これ持って来い」っていうのばっかり! 私はこのやり方で労働局にも何度足を運ばされたことかっ!もうええわっ! 怒りだけこのおばさんにぶつけて、ドイツで書き換えすることはやーめたっ! と、決めて言いました。

「無理です。その書類、日本に行かないと取れないんですもん。それも、古い免許証が要るんですって。」 「そういうことは、ここではなくて日本大使館に言ってください。」 「はいはい。でもねー、あなたっ!1月3日には・・・・2月19日には・・・・・3週間前には・・・・うんぬん。」 と、住民局の今までの対応を聞かせて、 「書き換えの担当部署だったら、国ごとのファイルとか作って、最初に必要なものをちゃんと伝えたらいいでしょう?  面倒なものでも、最初に言ってもらえたら私だって揃えますよ。  私、来月スイスに引っ越すんです。スイスで書き換えしますから、私が提出したもの全部返してくださいっ!」 「・・・・・おろおろ。全部は・・・無理かもしれません。」 「日本大使館でやってもらった翻訳ですが、21ユーロかかったんですよね。これだけでも絶対返してくださいよ!」 「・・・・では、その旨を手紙に書いて送ってください。返せるかもしれません・・・・。」 「手紙に返して欲しいってだけ書けばいいんですね?わかりました。どーも。」

電話を切って、すぐに手紙を書き、すぐに投函しました。 その後、冷めたお昼ご飯の続きを食べました。やるべきことはすぐにやるっ!これ基本っ!

1週間後くらいに住民局から1通の手紙。 開けてみると、翻訳だけが戻ってきていました。 せめて翻訳は返してください!って書いたけど、私の写真はどうしたのかしら? 「この女ー!」とかって、ハサミでチョキチョキされてたりして。

後日談: スイスの次住む州からは、「運転はどうしたらいいのか。免許の書き換えに必要な書類は何か。」 を書いた紙が滞在許可証と一緒に最初から送られてきました。 どう?この違い。 日本大使館だって、婚姻届を出したときには「出生届の出し方」「子供の国籍について」みたいな紙を早々とくれるというのに、 ドイツに住み始めましたという「在留届」を出しても、「ドイツにおける運転と免許証について」という紙はくれません。 くれなくったって、せめて貼っておいて「目を通しておいてくださいね」と言ってくれてもいいんちゃう?って思うんですけど、 そう思うのって私だけ? ま、ええわ。もうドイツともおさらばやし。んじゃ。

2004年サイトリニューアルにあたり、ふたたび5年前の文章を読んでみて
2年ぶりにして最後の「ベルリン事件簿」は、 「担当者によって言うことも対応もバラバラ」なドイツに小慣れた私のチャレンジの記録でした。
お役所もテキトーだけど、私もテキトーに煙に巻いて書き換え免許取得を試みたんだけど、結局無理でした。 意外とちゃんとしてるってこと?(笑)その逆に、スイスでの書き換えは非常にスムーズだったのに、 私はオートマ限定でない普通の免許を頂いてしまい、我が家はディーゼルのマニュアル車を購入し、私はスイスにて マニュアル車を運転しています・・・・いいのかっ(笑)。スイスってこういう風に意外といい加減なところあるのよね。