☆X’mas ☆ レープクーヘン

Lebkuchen

レープクーヘンとは、 蜂蜜がたっぷり使用してあって、スパイスの香りいっぱいのお菓子です。

特に日本人には好き嫌いがはっきり 分かれますが、誰がなんと言おうと、ドイツ独特の一番有名なクリスマスクッキーだと思います。 レープクーヘンと言っても、たくさんの種類がありますが、大きく分けると、粉と蜂蜜からできているもの、「粉を使用していない」というのが売りのナッツ たっぷりのエリーゼン・レープクーヘンと呼ばれるものに分けられると思います。 粉と蜂蜜から作るレープクーヘンも、生地を春頃に仕込んで長くねかせるものから、数日で仕上げてしまうもの、すぐに焼き上げてしまうものまで、材料や配合 以外の作り方にも大きな違いがあります。

私が最初に師事していたマイスターは、お菓子作りが大好きな人で、レープクーヘン作りにも大変熱心な人でした。粉を使用し ないエリーゼ ン・レープクーヘンはしっとりと柔らかいのが特徴ですが、 粉を使って作るレープクーヘンは、下手なものだと歯が立たないぐらい固いですよね。マイスターのレープクーヘンは、焼きあがったものに蜂蜜水を含ませ、更 にナッツ、ジャム、マジパンなどをキレイにトッピングしてから チョコレートでコーティングするという仕上げ方をするものだったので、いつまでも柔らかくて美味しく、ドイツで最初に知ったレープクーヘンがマイスターの もので良かった、と正直思うほどです。ただ、チョコレートをテンパリングしてコーティングするのが 非常に神経を使う上、手間がかかって面倒で、しかもパン作りと違ってあまり体を動かさずに寒い部屋でやる作業だったので、足元から冷えてくる上、ノロノロ やっているとチョコレートが固まってきてしまって手間がどんどん増えるし、で、 なんだか永遠に仕事が終わらないような、少し憂鬱な気分で仕事をしていたことを思い出します。(つまり、あまり好きな作業じゃなかったってことですね。 笑)

レープクーヘンは、上にも書きました通り、作り方一つ取ってもいくつも方法があるように、粉、膨らし粉、スパイス、どれも 説明し出すと キリがないほど奥が深いので、 とっても簡単に作れる方法だけを、あまり理屈をこねずに簡単にご説明していきたいと思います。ここでご紹介するレープクーヘンは、チョコレートでコーティ ングしないと 乾燥して固くなってしまうものですので、その作業をする覚悟のある方、ヘ クセンハウスを作り たい方にはお薦めですが、それ以外の方には、(お義母さんの) ホーニッヒクーヘンや(友達 トウコさんがお得意の)ホーニッヒブロートという、もっとケーキ感覚で作れるタイプのものが良いと思いますので、そちらを別の機会にご紹介したいと思いま す。


色の暗い粉を使用します。現在スイスに住んでいる私は、小麦粉にはRuchmehlを使用し、ライ麦粉は全粒粉を使用しています。ドイツでは、小麦粉は、 812、1050タイプ、 ライ麦粉は、997、1150タイプが主流ですが、 BIOのパン屋さんではすべて全粒粉で作ったり、ディンケル粉で作ったりもしました。これでも問題ありません。 このように、レープクーヘンのレシピは、小麦・ライ麦の割合やタイプについては幅が大きいのであまり神経質になる必要はないと思います。

スパイス
ドイツでは、Lebkuchengewürzという配合済みのスパイスが、クリスマス前にはどこのスーパーでも手に入りますが、 自分で配合したい場合の一例は以下の通りです。(ベルリンの製パン学校のレシピ)

  1. 鍋に蜂蜜を入れて、極弱火にかけ、60-70℃まで温めてサラサラの状態にします。これは、蜂蜜の中の糖分を溶かす ための作業で す。80℃以上になると香りが飛んでしまいますので、ある程度サラサラの状態になれば火から下ろしてください。その後、人肌くらいの温度になるまで冷まし ます。
  2. 小麦粉、ライ麦粉、スパイスを混ぜておきます。
  3. ヨーグルトに重曹(Natron)を溶かします。酸と反応してブクブクと泡が出ると思いますが、それで結構です。も しも、お手元 にキルシュが あれば、ヨーグルトの分量の5gをキルシュと置き換えると良い香り付けになりますので、お試しください。
  4. 人肌まで冷ました蜂蜜に、③のヨーグルト&重曹を混ぜ、そこに②の粉&スパイスを混ぜて一まとめにします。グルテン は必用あ りませんので、あまり捏ねすぎないでください。生地が馴染むように、できれば室温で1日寝かせると良いのですが、2時間程度の寝かせ時間でも結構です。こ の生地は乾燥しないように蓋のついた容器に入れて、冷蔵庫で数週間保存できます。

5. 必用最小限の粉で打ち粉をしながら、生地を3-4mmの厚さにのばして型抜きし、ペーパーを敷いた天板に並べます。 私は約3cm のハート型で型抜きしますが、1個6gになります。焼き時間は、生地の厚さや大きさによって少し変わりますので、目安にしてください。
6. 並べた生地の表面に刷毛でたっぷり牛乳を塗り、175-180℃のオーブンの中段で約8分薄い色に焼き上げます。焼 きすぎると固 くなりますので、 裏に焦げ目がつく前に取り出してください。
7. 焼いている間に、蜂蜜:水=1:1の蜂蜜水を作ります。このぐらいの分量なら、蜂蜜25g+水25gで良いでしょ う。蜂蜜が溶け るように少し火にかけますが、こちらも熱過ぎると 香りが飛んでしまいますので、サラサラの状態になればOKです。
8. 焼きあがった柔らかいレープクーヘンに、蜂蜜水を刷毛でたっぷり塗ります。

9. 冷めたらチョコレートでコーティングします。 チョコレートは、一度湯せんにかけて約45℃まで温めて溶かし、刻みチョコのかけらを加えて よくかき混ぜながら、30℃まで冷ましてから使用します。テンパリングは温度管理のとても難しい作業ですので、 湯煎でも気を抜くと温度が上がりすぎたりして、出来上がりのチョコレートに白い筋が残ったり、艶が出なかったりします。言うまでもないですが、湯煎をする 時には、チョコレートに水が入らないようにしてください。水の入ったチョコレートは使えません。
味は落ちますが、テンパリング不要のチョコレートや、アラビアガム(Gummi Arabikum)でコーティングされるのも良いでしょう。 Gummi Arabikumは薬局で購入できます。使い方は、5倍のお湯で溶いて焼きたてのレープクーヘンに塗るというもので、ピカピカに艶が出ます。