ケーゼクーヘン

Käsekuchen

 Käse(ケーゼ = チーズ)Kuchen(クーヘン = ケーキ)ですから、チーズケーキのことです。 ドイツのフレッシュチーズ、クヴァーク(クワルク)で作るベイクド・チーズケーキは、ドイツのケーキ屋さん、そしてパン屋さんの必需品で、 レシピ本にも載ってない本はない!というぐらいポピュラーなケーキです。クリームチーズを使って作る日本のチーズケーキに比べると さっぱりしているので、日本の感覚では最初は「ヨーグルトケーキ?」と思ってしまう方も多いかと思います。 それもそのはず。このケーキで使うクヴァークは、一見固めのヨーグルトのようなフレッシュ・チーズなのですから。

 材料を混ぜて焼くだけ!という簡単さもあって、昔から家庭でも作られるケーキの代表的なもので、 「○○おばあちゃんの」と か「○○伯母さんの」なんて 名前がついているようなレシピが沢山存在します。ダンナの実家にも「Uromas Käsekuchen(曾おばあちゃんのチーズケーキ)」というレシピが伝わっているのですが、 なにしろ大昔のレシピですから、材料がとにかく豪快すぎるのです。卵10個、バター250g・・・なんていう、そこまで入れる意味が分からない!(笑)と いうレシピなので、 時代を経て、特にカロリーを気にするお義母さんの元では、「Uromas(曾おばあちゃんの)」というノスタルジックな名前だけが冠についてはいるもの の、 すっかり様変わりしてしまったレシピになっています。私もお義母さんから作り方を習ったのですが、私はパン職人とはいえ、お菓子の理論なども多少は習って 知っているので、 お義母さんのレシピにも疑問に感じる部分が多々あり、自分なりにアレンジしているうちに、すっかり別のレシピになってしまいました。チーズケーキの嫌いな ドイツ人なんて いないほど、みんなの大好きなケーキですし、ビスケット生地の底にレーズンを散らしたり、タネを流した後、ケーキの表面にシュトロイゼルやスライスアーモ ンドを散らしたり、 缶詰のアプリコットを並べて焼いたり、いろいろアレンジも楽しめます。また、ビスケット生地にココアを混ぜた応用編、「ロシア風ツップフクーヘン」も大変美味しいです。是非一度 お試しください。

ちなみに、スイスではチーズケーキはそれほどポピュラーではなく、ケーゼクーヘンと言うとキッシュのような「しょっぱい ケーキ」を想像 する人が大変多いので、 スイス人には「Quarktorte(クヴァークトルテ)」と名前も変えて呼ぶ必要があります。

※ : クヴァーク(クワルク)は、Magerquarkという低脂肪(10%以下)のものを使用しています。ドイツの Schichtkäseという更に固めのクヴァークでも構いません。

※ : 「プリンの素(Puddingpulver)」と直訳しましたが、日本のプリンとは少し違って、「ブランマンジェの素」と言った方が良いような、カスター ドクリームを固めたようなものを 作るための粉で、 製菓材料売り場には必ずありますし、実際、工房でも日常的に使われているものです。これは、砂糖、コーンスターチ、香料がミックスしてある粉で、 だいたいどのメーカーのものでも、プリンの素一袋と500mlの牛乳を混ぜて火にかけて「プディング」を作ることになっています。稀にですが、砂糖は自分 で追加しなければ いけないものがあるので、使用説明をよく読んで、その場合はレシピに分量の砂糖を追加してください。ちなみに、私がよく使用するのは、Dr. Oetkerとミグロの商品です。

※: 「プリンの素」がない場合
砂糖20g、コーンスターチ20g、卵黄1個、バニラエッセンス少々で代用してください。

  1. ビスケット生地を作ります。ボールに室温に戻したバター、砂糖、塩を入れてよく捏ね合わせ、卵1/2個を加えて滑ら かになった ら、 小麦粉を一気に加えて軽く 捏ねます。 だいたいまとまったところで、タッパー等フタのできる容器に入れて、涼しいところに一晩おきます。 これは、砂糖をきちんと溶かすためなので、すぐに焼きたい方は、粉砂糖で生地を作ってください。 残った卵は、フィリングに使うので清潔に扱い、タッパーなどに入れて冷蔵庫で保存します。
  2. ケーキの底の部分にあたるビスケット生地を焼きます。私の持っている型では、くっつくことは滅多にないのでそのまま 生地をのばす のですが、心配な方は、ケーキ型の底の部分にくっつかないようにバターを塗り、①の生地の約半分をのばし、フォークで沢山穴をあけて、200℃で約10 分、薄く焼き色が付くまで空焼きします。(この後のオーブンの余熱でバターを溶かしておくと良いです。)
  3. ②で焼いた底の部分が冷めたら、ケーキ型の側面の部分を取り付けて、残った①の生地を4等分にし、棒状にのばして側 面(1/4) に貼り付け、底の部分から隙間のできないように高さ4cmに指でのばします。同じようにして、ぐるりと側面全体に4cmの高さのビスケット生地の壁を作っ て ください。最後にヘラなどで一番上を平らにならすとキレイです。
  4. 清潔なボールに卵白3個分と砂糖を入れて、角が立つまでしっかり泡立てます。
  5. 別のボール(ビスケット生地に使用したもので構いません)に、クヴァーク、卵黄3個分、砂糖、①の残りの卵1/2個 分、レモン汁 を 入れてよくかき混ぜます(泡だて器は④で使用したもので構いません)。きれいに混ざったら、牛乳、プリンの素を加えて混ぜ、最後に粗熱の取れた溶かしバ ターを加えてよくかき混ぜます。
  6. ⑤のタネに④のメレンゲを2回に分けて加え、ムラの残らないようにしっかり混ぜます。
  7. ビスケット生地の敷いてある型に、⑥のタネを流し込んで表面を平らにならします。
  8. 余熱したオーブンの下段で、最初は200℃で20分、その後170℃に下げて40分、全体で約1時間焼きます。生地 が膨ら みすぎている時、生地の中では水分が沸騰してその蒸気によって、せっかく固まった卵白の組織が壊され始めています。そのまま焼き続けると、出来上がった ケーキは嵩が落ちくぼみ、食感もボソボソした感じになってしまうので、焼いている途中で一旦オーブンから出すという作業をします。だいたい、焼き始めて 30-35分ごろ、写真のように型から飛び出すぐらい大きく膨らんできますので、静かに一旦オーブンから出して、約4分間生地が平らに戻るまで待って再び オーブンに戻します。その後また10分ほどしたら同じ作業をもう一度します。全体で1時間焼いたら、オーブンから出して静かにそのまま冷まします。
  9. ケーキがしっかり冷めたら型から出してできあがり。