ツヴィーベルクーヘン

Zwiebelkuchen

ドイツの秋、シューシューと静かな音を立てている飲み物が売り出されます。ワインの名産地はもちろんのこと、 マルクトでも、スーパーでもお目にかかれるものなんですが、これは、Federweisser(フェーダーヴァイサー)と呼ばれることの多い neuer Wein(新ワイン)です。 まだまだアルコール発酵中なので、瓶の蓋はしっかり閉められていませんから、持ち帰りには注意が必要です。何を隠そう、その昔、私は噴き出した Federweisser で、当時お気に入りだった トートバッグをすっかり酒臭くしてしまったことがあるんですよ・・・。お店の人に「必ず立てて持ち帰って」とビニール袋を二重にしたものに入れてもらった のに、気 楽に構えて 適当にバッグに入れて肩からかけながらショッピングを続けてしまったのでした。家に帰って自分に腹を立てながら、半分ぐらいに減った Federweisser を一人で飲み始めたら、あっと言う間に キッチンドリンカーの一丁上がり!ジュースみたいで飲みやすいのですが、アルコールはしっかり入っていますから、すっかり酔っ払ってしまいました。嗚呼な んだか嫌な思い出です。

 この Federweisser と切っても切れない関係の秋の味覚が、Zwiebelkuchen(ツヴィーベルクーヘン)です。ワインの名産地には必ずと言っていいほど、ツヴィーベル クーヘンのご当地レシピがあるものです。基本は、たっぷりの玉ねぎをじっくり炒めて、イーストの入った生地にのせて 焼いたもので、クーヘンと名前はついていますが、キッシュのようなしょっぱいタルトです。出来たてのアツアツが一番美味しいのですが、冷めてもまた美味し い ので、 ピクニックに持って行くのもお薦めです。サンドイッチやおにぎりとは、かなり目先の変わったものなので、なんだかワクワクするお弁当になりますよ。

※ : 発酵クリームとは、生クリームに乳酸菌を添加して培養、発酵させてつくられたもので、ドイツでは Crème fraîche 、Schmand(Saure-Sahne、Sauerrahm)が一般的ですが、私は脂肪分が40%のCrème fraîcheはあまり使わず、 脂肪分とお値段がその半分のSchmand(Saure-Sahne、Sauerrahm)をよく使っていました。スイスに来てからは Sauer-Halbrahmを よく使っています。日本ではCrème fraîcheと似たものが「サワークリーム」「クレーム・ラフィネ」という名前で売られているようです。

  1. ボールに、小麦粉、牛乳、バター、砂糖、生イースト、塩を入れて捏ねます。まとまってきた後、更に少し捏ね続けるぐらいでOKで す。 私は5分捏ねて、捏ね上がりがこのような状態。パンではないので、そんなに神経質に捏ねる必要はありません。生地には布巾をかけてそのまま室温で 休ませておきます。これから、玉ねぎを切ったり炒めたりと、フィリングを用意している間(30-45分間)に、少しだけ発酵するのですが、発酵具合もこの 程度でOKです。
  2. ベーコンは細切りに、玉ねぎは皮をむいて薄切りにしておきます。
  3. ベーコンをフライパンで炒めます。弱火でじっくり炒めていると脂が染み出してきますので、油をひく必要はありません。 全体によく火が通ったら出来上がりです。カリカリに炒める必要はありません。
  4. ③で炒めたベーコンをお皿に移して、フライパンに残った脂とお皿に溜まった脂を戻して、これで玉ねぎを炒めます。 塩小さじ2弱と一緒に、こちらも弱火でじっくりと20-25分かけて薄く色づく程度に炒めます。
  5. タルト型の内側に油を塗って、打ち粉をしながら①の生地を型の底面積より少し大きめにのばして、型に入れ、淵の高さまで生地を 押してくっつけておきます。この分量で生地は残らずぴったりできるはずです。生地を伸す時に大きくしすぎると 余りが出て困ってしまいますから、底面積より少し大きめだけ!と心がけてください。淵に生地が届かない場合は、 底の中心のあたりから外側に向かって手で丁寧に押していけば、きれいに型の大きさぴったりに伸ばせます。生地の底にフォークで穴を沢山あけておきます。
  6. オーブンを190℃に余熱します。
  7. ④で炒めた玉ねぎの粗熱が取れたら、ボールに卵1個と小麦粉を入れてよくかき混ぜ、小麦粉がよく馴染んだところで、残りの卵 1個、 発酵クリーム、キャラウェイシードを加えて全体をよく混ぜ、最後に③のベーコンと④の玉ねぎを加えて混ぜたら、⑤で用意した型に流します。
  8. 190℃のオーブンの下段で、45-50分美味しそうな焼き色がつくまで焼いたら出来上がり。