クヴァーク・ベルヒェン

Quarkbällchen

このページは、「ドイツのカーニバルには、 揚げ菓子を」 の続きです。

ドイツのフレッシュチーズ、クヴァー ク(クワルク)を生地に練りこんだクヴァーク・ベルヒェンは ふんわり、しっとりしていて、さっぱりと上品な味の揚げ菓子です。私がベルリンの職場で作っていたのはシュー生地で 作るものだったのですが、柔らかいイースト生地で作られたものもありますし、むしろそちらの方が主流のようです。 スイスではクヴァーキーニという名前で売られていたりしますよね。

 ともあれ、私は揚げシューのクヴァーク・ベルヒェンを最初に知ってしまったので、今でもこちらの方が 好きで年に一度 ファスナハトの時期に思い出したように揚げます。イースト菓子と違って思い立ったらすぐに出来上がってしまうのも魅力です。 シュー生地については、理論を語らずに「こうしないと失敗する」というようなコツもどきが横行してて、難しいという 印象をお持ちの方も多いと思いますが、先に粉の澱粉とたんぱく質にしっかり火を通して、これ以上変化しないようにしておく ことと、卵を入れてしっかり練り合わせる、この二点をちゃんとやれば生地は成功です。はっきり言って、卵は一度に全部を 加えても構わないんです。ただ、そうすると混ぜ難いという難点があるだけ。専門家の実験でも、少しずつ加えた場合と一度に加えた 場合では同じ結果が出ています。むしろ、卵の入れ方よりも練り方が大事なんです。沢山力強く練って空気を含ませた方がきれいに膨らむんですよ。 少し話が過ぎました。このお菓子はクヴァークの沢山入る揚げ菓子なので、ベーキングパウダーも欠かせないものですし、この レシピであまり語っても意味がないですね(笑)。とりあえず、この上品な味の揚げシュー、是非お試しください。クヴァークが 手に入らない方は、ヨーグルトで十分代用できます。代用する場合のレシピも備考に書きますのでご参考ください。

※ : ヨーグルトを使用する場合のレシピは、ヨーグルト100g、水50gで す。

※ : こちらの卵(M)は小さめで正味が50gです。日本の卵は若干大きめですから、そのまま2個加えると生地が柔らかくなりすぎる 可能性があります。鍋に加える水の量を10gほど減らし、生地を鍋にかけて練る時間を1分ほど長めにとってしっかり水分を 飛ばせば対応できると思います。

  1. 鍋にクヴァーク、水、塩、みじん切りしたレモンの皮、溶けやすいように小さく切ったバターを加えて中火にかけます。
  2. 鍋の中の水分がちゃんと沸騰したら、ふるっておいた粉を一気に加えてサッと全体を混て火からおろし、 ムラの残らないようにしっかり練ります。
  3. 再び火にかけて、鍋の底に薄い膜ができて、生地がお団子のようにまとまるまで一分ほど練ったら、火から下ろします。 ②の段階でキチンと粉に火が通っているのであれば、この工程は省いても構わないのですが、念の為と、より多くの卵が 練りこめるように水分を更に飛ばすためにやっています。
  4. ③の生地が手で触れるぐらいに冷めたら(40℃)、卵を一個分ずつ加えて泡だて器でしっかり練りこみます。 ヘラなどで生地をすくってみて、薄い帯のような状態でゆーっくりと落ちるぐらいが良い固さです。
  5. ベーキングパウダーと粗く刻んだレーズンを加えてよく混ぜたら、2本のスプーンを使って生地を160-165℃の低 温の油に 落とし、5分ぐらいかけてゆっくりと良い色がつくまで揚げます。低温の油というのは、試しに生地を少し落としてみた場合、一度鍋底に沈んでから ゆらゆらとゆっくり上がってくる温度です。油があまり熱すぎると、外側が固まるのが早すぎて生地が膨らまず、更に 色づくのも早いですから、油から上げるのが早すぎて、中身が生焼けっぽくなってしまいます。生地は油の中で約2倍の大きさに なるので、それを見越して生地を入れるようにしてください。
  6. 揚げあがったクヴァーク・ベルヒェンに粉砂糖をたっぷり振って召し上がれ。