ザワーブラーテン

Sauerbraten

ここ数年、欧州らしい肉料理を練習中の私ですが、高級でない部位の塊肉料理もいろいろ作れるようにな りたい、と思って 最初に手をつけたのが、ザワーブラーテンというドイツの甘酸っぱい肉料理です。そのまま焼いたら硬いお肉なのでしょうけど、 数日間ワインビネガーとリンゴ入りのマリネ液に漬け込むことで、ナイフですっと切れてしまうぐらい身が柔らかくなります。 レーズン入りの甘いソースとも意外とよく合って美味しく、ベルリンの職業訓練校の学食での私のお気に入りメニューでした。

このお料理は、ラインラント州の名物なので、デュッセルドルフ出身のお義母さんのお母さんの得意料理 だったそうですが、 かなりお酢を沢山入れたマリネ液だったようで、とにかく酸っぱくてお義母さんは少し苦手だったそうです。そんな話も聞いていたので、 私はお酢の量をかなり減らして、その分りんごを切ったものもマリネ液に入れることにしました。リンゴ酸もお肉を柔らかくする働きがありますので。 いつもの通り、私が何度も作って出来上がったレシピなので、この通りに作れば、お店で味わえるようなドイツらしいお料理が出来上がります。 見た目はかなり地味ですが、なかなかどうして、客人を「むむっ」っと唸らせる本格的ドイツ料理ですよ。ぜひ一度お試しください。

※ : 牛肩肉は、Rinderschulter と言います。ザワーブラーテンを作る旨を伝えれば、ほどよく脂の入ったものを選んでもらえるのではないかと思います。 スイスでは、部位の名称が出ていない場合がよくありますが、「Rindfleisch zum Sieden」と書かれて売られているHals(首)の塊肉でも美味しくできました。 たまたま写真は、「mageres Rindfleisch zum Braten」というもので作った時のものですが、脂身が少なく少しポサポサした仕上がりでした。

※ : 私が使うブイヨンはいつも Reformhaus のKlare Gemuesebruehe という純植物性のくせのないもので、 1個で1/2リットル用というものです。お使いのブイヨンが何リットル用のものか確かめてから調味してください。

※ : トマトペーストは、甘味の強いトマトを裏ごしして濃縮したもので、ドイツやスイスでは「Tomatenmark」「Tomatenpü ree」として チューブに入って売られています。

※ : ジュニパー・ベリー(Wacholderbeeren)は、木のような香りのする黒い粒状のスパイスです。な ければ省略して構いません。

  1. お肉は洗ってキッチンペーパーで水気をふき取っておきます。リンゴは皮をつけたまま、野菜はそれぞれ皮をむいて約 1cm角に切 り、肉、ワイン、ワインビネガー、スパイスと一緒に厚手のビニール袋に入れて、全体に酢が行き渡るように少し袋の上から揉んだ後、肉全体がマリネ液に浸か るように袋の口を縛って、冷蔵庫で3-5日ねかせます。
  2. ①のマリネ液から肉だけを取り出し、キッチンペーパーで水分を拭き取ります。マリネ液は漉して、水分と野菜とに分けておきます。
  3. フライパンを中火でよく熱して、炒め油をまわし入れ、②の肉の表面に焼き色がつくまで焼いたら、耐熱容器に取り出し ておきます。 そのままフライパンには、水気を切った②の野菜、塩、バターを加えて約10分野菜が少ししんなりするまで炒めます。最後にトマトペースト、②のマリネ液を 加えて一煮立ちさせたら、耐熱容器のお肉の上にかけて、アルミホイルなどで蓋をして、180℃のオーブンで約2時間煮込みますが、途中で何度か肉の上下を ひっくり返します。
  4. 煮込んでいる間に、レーズンをりんごジュースに浸けてふやかしておきます。
  5. 2時間煮込んだ後は、肉は蓋で使ったアルミホイルに包んで、スイッチを切ったオーブンに入れて保温しておき、煮込ん だマリネ液は 漉 して鍋に入れます。 水分を押し出すために、適当に野菜をヘラで押しますが、裏ごす必用はありません。野菜の絞りかすは勿体無いような気もしますが、捨ててしまいます。④のり んごジュースの中に片栗粉を溶かしてから、レーズンごと全部鍋に入 れ、蜂蜜、ブイヨンも加えて、全体がドロッとするまで煮詰めたらソースの出来上がり。
  6. お肉を切ってソースを添え、ク ネーデル、ロートコー ルと一緒に召し上がれ。ロートコールは紫キャベツでできた甘いザワークラウトのようなものです。 ドイツやスイスでは袋に入った市販のもので十分美味しいですよ。手作りされたい方は、ザ ワークラウ トのレシピを参考に、紫キャベツで少し甘めに作られたら良いでしょう。