ヴェッグリ

Weggli

 スイスで食卓用小型パンとしてよく食べられている、牛乳で捏ねた柔らかいパンです。食事用ですので、甘くはありません。も ちろん、 ドイツと同じく水と粉で捏ねたシンプルなムッチュリ(ゼンメル)もありますが、このヴェッグリも毎日同じぐらい沢山作っていました。 時々幼稚園からの大量注文もありましたし、乳母車に乗ってヴェッグリをかじっている子供を見かけることもよくありますので、小さなお子さんに食べ易いパン なんでしょうね。
私は、このヴェッグリを焼き上げるオーブンを担当することが多かったのですが、 ドイツでは焼いたことのないパンの上、意外と焼成の難しいパンなので、コツを掴むまでは毎日のヴェッグリが頭痛の種でしたよ。でも、長年スイスで働いてい る 同僚達にとっても、一番タイミングを計るのが難しいパンのようだったので、毎日毎日焼いたおかげでヴェッグリ焼成のベテランになった私は、他の人がオーブ ン担当の日にはよ く手伝っていました。 家でこれだけをこんなに少しだけ焼くのとは違って、工房では他のパンも同時進行でさばきながら、そして時間のプレッシャーの下でですからねぇ。
  さて、このパンは木の取っ手のようなもので真ん中をぎゅっと押して成形します。家ではお箸で代用しました。大きい方のパンは、Bernerweggli (ベ ルン風ヴェッグリ)と 呼ばれるもので、これをもう少し細長くして、てっぺんに垂直にハサミを入れて成形するサンドイッチ用のヴェッグリもあります。ヴェッグリは、日本のテーブ ル ロールに 似た味ですが、お店によって油脂の量が違っていたりしますし、焼成のタイミングをはずしてしまってパサパサした仕上がりになったものに当たる確立も高いパ ンですね。 本当のヴェッグリの生地に卵は入りませんが、家庭で照り付け用だけに卵を割るのは勿体無いので、私のレシピでは残りを生地に混ぜて、もっとしっとり仕上げ ることにしました。

  1. ボールに、小麦粉、牛乳、卵、生イースト、砂糖を入れて捏ねます。固めの生地ですが5分ほどそのまま捏ねてください。
  2. ①の生地にバターを数回に分けて練りこんでいきます。バターが生地に馴染んだところで塩(塊が無いようにしておいてください)を 加えて良く捏ねます。①も含めて全体で10分ぐらい捏ねたら、つるっとした表面の生地に仕上がると思いますので、丸めて布巾をかけて室温(21℃)で約 30分 生地を休ませます。
  3. 少しフンワリした生地をボールから取り出し、60g×3(Weggli) と 90g×3(Bernerweggli) に生地を分割 し、Weggli用は丸めてから手の付け根で 生地を上からぎゅっと押して少し平らにし、Bernerweggli用は丸めてから俵型に成形し、どちらも綴じ目を下にしてシートを敷いた天板に載せて、 乾燥しないように布巾をか けて、 室温(21℃)で30-40分、約2倍の体積になるまで発酵させます。
  4. Weggli生地の真ん中に箸を置き、底につくまでしっかりと生地を押しますが、生地が切れてしまうほどではありませんので、常 識で手加減してくださいね。 溶き卵を生地の表面に塗ります。
  5. Bernerweggli生地に卵を塗り、ハサミを手首を返すようにして持って表面を削ぐように4-5箇所切れ目を入れます。
  6. 塗った卵液が乾くように、そのまま10分ほど置いておいてから、もう一度卵液を塗り、オーブンを220℃に余熱します。 うちのオーブンは5-10分で設定温度になるのですが、もっと時間がかかる場合はオーブンの点火時間を早めにしてください。Bernerweggliと Weggliを別々に焼く場合は、Bernerweggliを先に焼かれることをお薦めします。というのは、Bernerweggliは発酵しすぎると 切れ目があまりきれいに釜伸びしてくれないからです。
  7. オーブンの温度が設定温度になったら、オーブンの下段に天板を入れ、3分後に扉を開けてすばやく霧吹きで軽く水を吹きかけます (あまり水をかけすぎると、卵液がはげて光沢が失われます)。 Weggliは8-9分、Bernerweggliは10-12分、美味しそうな焼き色がつくまで焼いたら出来上がり。