ドイツパン作りの基礎知識 1

穀物 Getreide(ゲトライデ)

日本では「五穀豊穣」なんて言いますが、ドイツでは穀物と言えば、以下の7つのことを言います。

このうち、小麦とライ麦だけが、そのもの100%でパンを焼くことができるので、パン用穀物と特に呼びます。

Buchweizen(ブーフヴァイツェン = 蕎麦)は、植物学的には穀物の仲間には入りませんが、 成分は穀物にとても近く、上記7種類の穀物とよく併記されています。

Dinkel(ディンケル = スペルト小麦)は、現在一般に流通している小麦の祖先です。 一般小麦に比べて、ビタミンとミネラルを多く含むということから、健康志向の人々に好まれています。

粉のタイプ Mehltypen(メールテューペン)
ドイツの粉の袋には数字の表示がありますが、 これは100kgの小麦の中に何gのミネラルが含まれているかという意味です。 ミネラルは穀物粒の外側へ行くほど多く含まれているので、 粉のタイプの数字が大きくなるほど、粉の色は暗くなります。

下の写真は、小麦粒とその全粒粉(Vollkornmehlフォルコーンメール)、ライ麦粒とその全粒粉です。
小麦は明るい薄茶色をしていて、ライ麦の色は青みがかったグレーです。

小麦粉の種類

  • 405 = ドイツの家庭用小麦粉はこれ。いわば、薄力粉。ケーキやお菓子向き。
  • 550 = パン屋の必需品。グルテンが強く白パン向き。強力粉と薄力粉を半々で混ぜたぐらい。
  • 812 = 色の明るいミッシュブロートに使用したりする。
  • 1050 = わずかに暗め。BIOのパン屋では550の代わりに、これを明るい色のパンに使うことが多い。
  • 1600 = かなり暗い色。あまり使用しない。
  • 1700 = 胚芽部分以外全てが入っている。
  • 2000 = 全粒粉。胚芽も含め粒全部が粉になった状態。

ライ麦粉の種類
ライ麦粉も、815、997、1150、1370、1740、1800 Vollkornmehl(全粒粉)と分かれています。 
私が工房や学校でよく使ったのが、1150。 
スーパーでよく見かけたのが、997。 
BIOの店では自家製粉だったので、必然的に全粒粉。 
これ以外は、私が今まで仕事したところでは見かけませんでした。

ライ麦90%以上 = Roggenbrot ロッゲンブロート

ライ麦50%以上90%未満 = Roggenmischbrot ロッゲンミッシュブロート

(「半々の場合はどう呼ぶのか」とか聞かないでください。 たぶん、ミッシュブロート50%50%とかそんなのです。)

小麦50%以上90%未満 = Weizenmischbrot ヴァイツェンミッシュブロート

小麦90%以上 = Weizenbrot ヴァイツェンブロート