Buchweizenbrot
このページは「バックフェルメントの起し方」の 続きです。
ドイツで時々見かける、穀物を粒のまま生地に加えたパンで す。 穀物は発芽する時にビタミンを数倍に増やす力があるので、「発芽させてから生地に混ぜ込む」 というのは、ベルリンの職場で教わりました。厳密に言うと、ドイツの分け方によると蕎麦は穀物には分類されないんですけど、 他の穀物と違って蕎麦の実はとても柔らかくて、家庭用のミキサーやコーヒーミルで必要な分だけ粉に することができます。
このパンは蕎麦40%、小麦40%、ライ麦20%でしかもフォルコーン(全粒粉)という、パン職人でもドイツのBIOで経験のない人には はっきり言って作成不可能なのではないかと思われるぐらい難しい配合なのですけど、これもバックフェルメントを使うと意外に 簡単に作れます。言葉で表現するのは難しいのですが、いろんな酵母と長くお付き合いしていると、 イーストがその発酵パワーで生地を膨らませる印象を与える一方、バックフェルメントでは粉と酵母の発酵パワーが協調しあって、とても自然に 生地が膨らんでいるような印象を受けます。粒を噛みしめるたび、蕎麦の香りが口の中にひろがる蕎麦の実パン、 是非お試しください。
- 蕎麦の実50gとぬるま湯50gを蓋のできるビンに入れて、暖かいところに丸一日置いておきます。 時々ビンを振ったりして全体に水分が行き渡るようにしておくと、小さな芽が出てきます。
- コーヒーミルやミキサーで蕎麦の実をひいて粉をつくっておきます。パンの表面を飾るための粗引き蕎麦の実は、数秒だけ ミキサーにかけるとできあがりです。
- ボールにバックフェルメント元種、ぬるま湯、ライ麦全粒粉を入れてスプーンなどでよく混ぜ、暖かいところで約3時間発酵させま す。私は電源の入っていないオーブンの庫内に湯たんぽを置いて醗酵室を作っています。(庫内温度 約35℃) 暖かい場所で約3時間、体積が2倍になるま で発酵させます。出来あがりの見極めは、生地がふっくらと膨らんで、表面がひび割れていること。
- ③の生地がふっくら発酵したら、ボールの中に、残りの材料を加えて10分ほど捏ねますが、 小麦以外の生地に慣れていない方、このパンを初めて作られる方は水分は少なめにした方が扱いやすいはずです。 蕎麦粉とライ麦の比率が多いのでベタベタした生地ですが、捏ねているうちに少しだけ弾力性が出てきます。
- 捏ねあがったら、①の発芽蕎麦の実を生地に混ぜ込んで、暖かい場所で20分生地を休ませます。
- 生地を休ませている間に、型に油を塗っておきます。小麦生地以外の成形に慣れていない方は、粗引き蕎麦の実を型の底と側面にまぶ しつけておきます。
- 打ち粉をした台の上で生地を丸めて、綴じ目を手のひらに持って、丸い表面の方を粗引き蕎麦の実に押し付け、綴じ目を下にして型に 入れますが、 この生地はドイツのBIOパン屋で経験のある方以外は成形は無理だと思います。それ以外の方はヘラなどを使って生地 を型にいれ、表面を水でぬらしたヘラか手で押し て平らにし、表面にも粗引き蕎麦の実を散らしておきます。
- 暖かい場所で約1時間、体積が1.5倍以上になって表面がひび割れるまで発酵させます。私はここでも湯たんぽを 使って温度35℃ の 環境を作って発酵させています。
- 生地の表面を霧吹きで濡らしてから、230℃のオーブンで最初は20分、200℃に下げて30分(全体で50分)焼きます。 パンを型から出して、底を叩いてみて軽い音がしたら出来あがり。網などにのせて冷まします。
バックフェルメントの継ぎ方
元種が少なくなったら、粉と水を 足してバックフェルメントを継いで10倍に増やすことができます。
元種を作る時と同じく全ての材料をよく混ぜたら、室温(最低20℃)で12~18時間発酵させます。 体積が2倍ほどに増えて大きな気泡がたくさん見えるようになったら出来上がり。蓋をして冷蔵庫で保存します。バックフェルメント自体安いものですし、何度 も何度も種継ぎをしていくと雑菌の入り込む危険性も増えるので、私はこうやって一度10倍にした後は元種は使い切って、次はまた一から種を起こし直すよう にしています。