Wiener Saftgulasch
冬に美味しい煮込み料理。その中でも大変有名なのがグラーシュです。でも、煮込みといえば「カレー」 と「おでん」ぐらいの 日本の家庭 に育った私には、 慣れていない分、すごく取っつき難い感じがしていました。旧東ドイツの 片田舎の、寂れたレストランで、柔らか~く煮込まれたお肉がたくさん入ったグラーシュをランチに食べた時に、 「塩味強すぎるけど(これはドイツ病)、こんな店でも(失礼!)ちゃんと作ってるー。私も上手に作れるようになりたいな!」 と思ったものでした。
その後、ちょっとやる気を出して挑戦して大失敗。ますます上手になりたくて、バイエルンに住んでる、 とってもお料理上手な 日本人のお友達に良いレシピを紹介してもらって、去年の冬から何度も何度も作って、最近やっと毎回満足いく仕上がりに作れるようになりました。でも、いつ もお肉は同じお店で買っているのに、一度は煮込んでも煮込んでも固いまま。品質の問題かもしれませんが、それ以来、固く仕上がるのが怖くて、作る直前、時 には前夜から分量のお酢で お肉をマリネするようになりました。これが効いてるのかどうか定かではありませんが、それ以来失敗なしで柔らか~く美味しく仕上がって います。
このお料理は、煮返せば煮返すほど美味しくなりますし、お肉も柔らかくなります。お料理の常識「味は 料理が冷めていく過程 で しみ込み、温まる過程でしみ出す」と照らし合わせて、全部の調味料が入ってからは、ただ単に長時間煮るのではなくて、 しばらく煮たら火を止めてゆっくり温度を下げ、冷めたらまた火にかけて、というのを最低2回ぐらい繰り返してから 頂いています。 ウィーン風グラーシュ、是非お試しください。
※ : 牛スネ肉は、「Wadschinken(オーストリア)」「Vorder-, Hinterbein または Hesse(ドイツ)」 「Stotzen(スイス)」と国によって呼び方が違うようですが、私は肉屋さんで「グラーシュ用の牛肉ください」と言って買ってます。 そうすると、いつも「Rindsvoressen」という日本のカレー用に角切りにされたようなお肉をくれます。パックに入っているものを買う時は、赤身 ばかりのものより、適度に脂のついているものを選んだ方が柔らかく仕上がります。もちろん、Kalb(仔牛)のお肉でもできますし、その方がもっと柔らか く上品な味に仕上がります。
※ : パプリカ(Paprika)は甘口(Edelsüss, mild/extra mild)を使用します。マジョラム(Majoran)は葉が小さくほぐしてある乾燥のものを使用します。キャラウェイ(Kü mmel)は粉末にひいてあ るものが一番良いのですが、なければ粒のままで構いません。
※ : ブイヨンスープは、私はマギーのビーフブイヨン1.5個を750mlのお湯で溶かして作っています。私のように 固形ブイヨンを使用される場合は、750mlのスープを作るためには、お使いのブイヨンがどれだけ必要なのか確かめてから調味してください。
※ : トマトペーストは、甘味の強いトマトを裏ごしして濃縮したもので、ドイツやスイスでは「Tomatenmark」「Tomatenpü ree」として チューブに入って売られています。
- 肉はなるべく繊維に直角になるように包丁を入れて、約3cmの角切りにし、大匙3の酢をふりかけて揉み込んでおきま す。 玉ねぎは薄切りにしておきます。固形ブイヨンは分量のお湯で溶いておきます。
- 大きめの鍋を熱して油を加え、玉ねぎを弱火でじっくりと約30分かけて色づくまで炒めます。
- 火を少し強めにしてから、パプリカ、牛肉、マジョラム、キャラウェイを加えて炒めるようにかき混ぜます。
- 肉の表面の色が変わったら、再び弱火にし、ブイヨンスープを大匙3だけ加えたら、鍋の蓋をして弱火で1時間20分 コ ト コトと煮ます。 その間、何度か蓋をとって中身をかき混ぜてください。もし、水分が足りないようならブイヨンスープを足しますが、普通はお肉からたっぷりお汁が染み出して くるので、水分を足す必要はありません。
- 1時間20分煮た後の鍋の中では、お肉はすっかり柔らかくなって、玉ねぎもドロリとしています。水分は大匙3杯の ブイヨンスープだけなのに、汁気もたっぷりあります(一番右の写真)。
- 再び火を強めて、残りのブイヨンスープ、トマトペースト、 塩を加えて約10分煮たら一応できあがりです。しかし、これでは味が馴染んでいなくて物足りないので、せめて一度は煮返してから召し上がってください。 このお料理には、じゃが芋やパンでできたクヌーデルというお団子、茹でたじゃが芋、マッシュポテト、またはパンというのが付け合せ、そして飲み物には 生ビール、というのが定番のようで すが、 お米好き日本人の私はハヤシライスみたいに、ご飯と一緒に食べています。