Focaccia
イタリアにはいろんなタイプのフォカッチャがあるようですが、私が作るのは日本やここスイスで 一般的に売られているタイプの厚めな平たいパンです。
来客の時、私がイタリアンをメインにお料理を作る時には、前菜には数種類のアンティパストを並べます。 パプリカのマリネ、オイル漬けトマト、オリーブ、私流カプレーゼ、茄子のマリネが定番です。時間がある時に一緒 にお出しするのが、この手作りのフォカッチャ。特に変わった材料を使っているとか、私が変わった製法を取っているとかいうのではないと思うのですが、 「こんなパン、スイスでは売ってないよね」と言われて、私が「そう?ミグロでもフォカッチャ売ってるでしょ?」と不思議に思うほど、よくお褒めいただく パンです。たぶん、イタリアンの前菜と一緒に食べてるという状況と、数時間前には焼き上げてるとは言え、パンの美味しい賞味期限内に食べているという事実 が、意外に大好評な理由なんじゃないかとも思います。
まん丸に仕上げたいので、私はタルト型を使って焼きますが、24cm型だと大きすぎる時もありますので、その時には「半径×半径×円周率」で 円の面積を計算して、20cmのケーキ型を使ってレシピの70%で焼いたりする場合もよくあります。レシピの下に書いたように、横半分に切って具を挟んだ サンドイッチも見栄えがして美味しいのでお薦めです。ぜひお試しください。
※ : 私のフォカッチャ作りには、Vorteig(フォアタイク = 前生地)を使います。 Vorteigというのは、粉分量の30%程度、同量の水、わずかなイーストを混ぜたものです。 Vorteigを作ってから生地を作る方法で出来たパンの方が、風味が良く、長持ちします。この糊状のものを2~8時間置いておきます。 詳しくは「美味しく仕上げるコツ」をご参照ください。 室温の違い等により、放置時間は異なりますが、Vorteigが最大に膨らんで、しぼんでしまう直前直後が、Vorteigが熟成した時、つまり「使い 時」と言われます。
- ボールに小麦粉、水、生イースト1gを入れて混ぜ、暖かいところで約3時間発酵させます。私は電源の入っていないオーブンの庫内 に湯たんぽを置いて醗酵室を作っています。(庫内温度 約35℃)
- 分量のオリーブを薄切りにしておき、型の内側にオリーブ油を塗っておきます。
- 少しふっくら膨らんだ①の生地の入ったボールに小麦粉、水、オリーブ油、砂糖、生イーストを加えて、10分ほどしっかり捏ねま す。最初は柔らかく扱い難い生地ですが、捏ねているうちに弾力性が出てきます。
- こねあがった生地に45gの薄切りにしたオリーブを加えて軽く捏ねます。そのままボールに布巾などで覆いをして、室温で30分ほ ど生地を休ませます。(室温21℃)
- 少しふっくらして緊張の取れた④の生地を打ち粉をした台に出してのばし、②で油を塗った型に入れて、菜箸などで表面全体に 穴を空け、オリーブオイルをたっぷり塗り、残りの薄切りオリーブを散らします。
- 私の場合はここで、まだ暖の残っている湯たんぽの入ったぬるいオーブンに入れて30分発酵させることが多いですが、 室温でも45分ぐらいで生地の高さが2倍近くまで膨らみます。焼き時です。
- 200℃のオーブンできれいな焼き色が付くまで30-35分焼いたら出来上がりです。
上記レシピからオリーブを抜いて、ローズマリーと粗塩で 仕上げることもあります。 その場合は、⑤で型に入れてオリーブ油を塗った後、菜箸で空けた穴の中にローズマリーの葉や小枝を適当に刺していきます。刺す時にも菜箸で押すようにする とやり易いです。ローズマリーの葉を表面に散らすだけだと、焼きあがって切る時などに、ハラハラと簡単に落ちてしまいますので、お薦めできません。最後に 粗塩を表面に軽く振って、あとは作り方の⑥以降をご参照ください。
フォッカッチャはそのまま切って食べても美味しいです が、ケーキのように横に切って具をはさみ、サンドイッチにしても大変美味しくいただけます。こちらは、茄子のマリネ、細切りにしたオイル漬けトマト、モッツァレラチーズ、バジルペー ストを挟んだサンドイッチです。
2005年3月28日 記