パン・パイアス

Pain Paillasse


 ジュネーブのパン屋さんが考え出して特許を取っているパン・パイアスは、スイスで人気のあるパン で、外はカリカリ、中は しっとりモチモチしてます。 ただ、このパンはちょっと面倒なことがありまして、特許の関係上、この名前で売る場合は、特許を持ってるジュネーブのパン屋さんから粉を買って特許使用料 を払わないといけないんです。 でも、柔らかい生地で低温長時間発酵させればできるよねって、職人だったら誰でも分かるので、類似品は結構出回っています。

 うちでは大抵バックフェルメントで作るドイツパンを 常備しているのですけど、たまには白いパンも食べたくなります。そういう時に作っているのが、このパン・パイアスもどき。本物のパン・パイアスの原材料を 見てみると、 やっぱりグルテンとビタミンCが添加してあります。指が突っ込めるほどのあの大きな気泡を持ち堪えさせているのは、添加されたグルテンの力とグルテンを強 化させるビタミンCです。 家でパン・パイアスを再現させたいとは思っても、イーストフード(生地改良材)をわざわざ購入して加えたいとまでは思わないのですが、それでもどうにか、 水分量は減らさずにしっとり感を 保たせたまま、生地をもっとしっかりさせることはできないかな?と思っていました。

そうしたら、掲示板で11月のキロさんが「先日のためしてガッテンのテーマは麩で、番組で紹介された麩入りのジューシー・ハンバーグを作っ た」という お話を書いてくださったのです。そこで、私も「!」とひらめきました。砕いた焼き麩をたった1%だけ生地に混ぜ込んでみただけなのに、生地が 今までよりしっかりして少し香ばしい味もついて大成功!!私のパン・パイアスもどきのレシピはこれに決まり!11月のキロさん、ありがとうございます!
 水分が多いので塩を3%入れて味をよくしている点、柔らかい生地をひねって成形するやり方、打ち粉に片栗粉を使用する方法など、なかなか珍し い作り方をするパンですし、 何よりとっても美味しいですよ。是非一度お試しください。

※ : 私が使用している焼き麩は、近江の「丁子麩」です。

  1. 焼き麩を砕いて粉にしておきます。
  2. ボールに小麦粉、塩、サラダ油、蜂蜜、生イースト、水を入れて15分ほど捏ねます。かなり柔らかい生地です。
  3. 焼き麩の粉末を大匙1加えて、全体に馴染むように少し捏ねたら、蓋のできるタッパウェアーなどの容器に入れて、 冷蔵庫で12~15時間低温発酵させます。私は温度が10℃と高めに設定してある野菜室で12時間発酵させています。12時間後が真夜中になってしまうと か、 時間の都合が悪い場合は、まず最初に30分間冷凍庫に入れて生地の温度をかなり下げた後、冷蔵庫に移したりします。そうすると3時間ぐらい発酵を遅らせる ことができます。
  4. 低温発酵後の生地は空気を少し含んだ感じで、少し体積が増えています。容器の底から生地をのぞいて見ると、沢山の小さな気泡が見 えるはずです。
  5. 打ち粉をたっぷりした台の上に生地を出し、長方形に平らにならしてから左右の手で生地をねじって成形し、 くっつかないように片栗粉をたーっぷり振った布の上置いて、乾燥しないように上からも布がかかるようにして、室温(21℃)で2時間、体積が1,5倍にな るまで発酵させます。
  6. パンをのせて焼く予定の天板をオーブンに入れたまま230℃に余熱し、霧吹きに水を入れておきます。
  7. オーブンの温度が設定温度になったら、天板を取り出し、布の上を転がすようにしてアツアツの天板の上に生地を落とし、表面にたっ ぷり水を吹きかけてからオーブンに入れます。
  8. オーブンに入れてからも、2分後、4分後、そして5分後に扉を開けてすばやく霧吹きで水分を吹きかけます。230℃で20分、そ の後190℃に下げて25分(全体で45分)焼いたら出来上がり。