Quiche Lorraine
キッシュはお義母さんのお得意料理の一つで、そんな家庭で育ったダンナも大のキッシュ好き。 東京に住んでいた時には、原宿のオー・バカナルでしょっちゅうキッシュを注文して食べていました。 私達がベルリンに住み始めてすぐのクリスマスにダンナが私にプレゼントしてくれたのが、キッシュの本。 当時はまだパン修業を始めるなんて想像すらできなかった私、粉物もそんなに得意ではなかったのですが、 どうにかこうにか試行錯誤しながら作っていたものでした。
その一年後に、現在はフランスに住む友人が来た時にももちろん作って、帰りの電車のお弁当用に沢山 持たせたのです。そしたら、現在の彼女の夫であるフランス人にもお裾分けが残ったらしくて、その彼から 「ドイツではキッシュ・ロレーヌという名前で出されても、自分にとってはただのキッシュでしかないことが 多いけど、これは real one だ!」と誉めてくれたそうなのです。馬鹿のひとつ覚えで何回も何回も作っていた 甲斐がありました。たぶん、ドイツのってツヴィーベルクーヘンとちょっとごっちゃになって、炒めた玉ねぎとかが 入っちゃってたりするんじゃないかしら。なんと言っても作り方のコツといえば、
「チーズを表面に散りばめず、具の下に沈めてしまう」
「ベーコンの油をきっちりとふき取る」
ことだと思います。チーズが表面にあると、一番最初に溶けて具の上にカバーをしてしまうでしょう。 そうすると、ビスケット生地が濡れてしまうし、中身もなかなか固まらないのです。
※ : フィリングに卵が3つも入りますので、生地を卵無しにしてカロリーを少し抑えることもできます。その場合は、水の分量を60gにしてください。もちろん、 卵が入った方が生地のサクサク具合が増して美味しいです。ちなみに写真は、卵無しで作った時のものです。
※ : ベーコンはスモークされたものを使用します。私はBauchspeckという塊のものを皮の部分を外して使用しています。すでに薄切りになっているもの は、Bauchspeckより塩加減が強いように感じますので、フィリングの塩は無しにして良いでしょう。
※ : ご使用の生クリームの1パックの容量にあわせて、生クリームの分量を牛乳に一部置き換えて構いません。私は「生クリーム200ml + 牛乳100ml」までは経験済みです。 キッシュ・ロレーヌはかなりリッチな味わいのキッシュなので、生クリームをこれぐらい減らしても美味しく頂けました。
- バターが結構入るので、私の陶器のタルト型では底に生地がくっついたりはしないのですが、 お手持ちの型がくっつきやすい物であれば刷毛で油を型の内側に塗っておいてください。
- ボールに小麦粉、塩を入れて、そこへよく冷えたバターを加えて、スケッパーかナイフを使って粉をまぶしながら 小さく刻んでいきます。
- 粉まみれの小さなバターの粒だらけになったところで、卵を加えて手で捏ねます。卵の大きさによっては 必要ないかもしれませんが、うちが使う卵は正味50g程度でこれだけでは水分が少し足りないので、約10gの水を足します。 グルテンを出す必要はありませんし、あまり捏ねると逆に出来上がりのサクサク感がなくなります。まだらな感じで構いませんので、ひとまとまりになったら、 そのまま冷蔵庫に入れて冷やします。
- ベーコンを細切りにして、フライパンで炒めます。ベーコンから油が出るので油はひきません。 火が通って色が変わったら、キッチンペーパーの上に取ってしっかり油をとっておきます。
- 打ち粉をしながら③の生地を型の大きさより少し大きめにのばして、型に入れ、淵の高さまで生地を 押してくっつけておきます。この分量で生地は残らずぴったりできるはずです。生地を伸す時に大きくしすぎると 余りが出て困ってしまいますから、型より少し大きめだけ!と心がけてください。淵に生地が届かない場合は、 底の中心のあたりから外側に向かって手で丁寧に押していけば、きれいに型の大きさぴったりに伸ばせますよ。
- 生地の底にフォークで穴を沢山あけて、生地を少し固めるため冷蔵庫に15分ほど入れます。私は生地を空焼きにしないのですが、お 使いのオーブンの 下からの火力が弱いなど、生地がちゃんと焼けるか心配な方は、この後、生地にペーパーを敷き、重しに乾燥豆や お米をのせてから、200℃のオーブンで約10分空焼きします。
- 粗くおろしたチーズを生地の上にまんべんなく広げ、その上にベーコンを散りばめます。
- あまり空気が入らないようにボールの中で卵を溶き、調味料と生クリームを加えて軽く混ぜたら、 ゆっくりと⑥の上から回しかけます。
- 210℃のオーブンの下段で、きれいな焼き色がつくまで40分~45分焼いたら出来上がり。