2007年2月15日(木)
またまたやってきましたアルザス。今回はお義母さんのお誕生日会出席を兼ね て。義父母宅からフランス国境までは近いのです。
今まで行ったことのない町へ行ってみようということで、結構どこでも良かったのですが、ドイツからあまり遠くなくて大きな街ではなく て・・・という条件で 決めたのがObernai(オベルネ)。
夕方暗くなってから到着したのですが、町の中心には塔や教会のあるなかなか素敵な町で、良い意味で期待を裏切ってくれました。シュトラ スブルクから近いの で、昼間の観光はシュトラスブルク、宿泊と 夕食はオベルネで、とすると同じ出費で1ランク上の旅行ができると思います。ただ、夕方はシュトラスブルク周辺のアウトバーンはどこも渋滞がすごいので、 移動時間は多目に見ておいた方がいいですね。
泊まったホテルは、町の中心にあるHotel la Diligence。アルザス旅行ではい つも必須の緑ミシュランのお薦めホテルです。 部屋は少し古くさい感じもしますが、フランスだしこんなもんかな?一泊一部屋51ユーロ(8000円弱)ですし、泊まるだけなので文句は言えません。実 際、 荷物を置いてすぐに夕食を食べに行き、すっかりワインでほろ酔い加減で戻った私達は、バタンキューでした。
レストランも緑ミシュランのお薦めのところへ。この本も買って3年 経ちますし、ホテルを予約した時に「”La Cour des Tanneurs” というレストランで夕食を食べたいと思って いるのですが、どう思いますか?他にもお薦めがあれば教えてください。」と質問してみたところ、「良いレストランですよ!自信を持ってお薦めします!他に は、Winstub “La Dime” や Winstub O’Baerenheim “Chez Gérard” や “Le Bistrot des Saveurs” も なかなか良いですよ。」ということでしたので、ダンナがレストランに予約の電話を入れたのですが、とっても親切な対応をしてくださったそうで、それだけで 行く前から高感度大なお店でした。
ただ、お店は細い路地を通った奥まったところにあって、表通りに全く面してい ないからか、知らないと絶対にみつからない ような場所にあり、そのためだと思うのですが、レストランに似合わない電光掲示板が表通りからさっと首を出して眺めた時に見えるように設置してあって、そ れがなんだか安っぽくて残念でした。ま、レストランに入ってしまえば全く目に入りませんけど、「”La Cour des Tanneurs”はこちら」って感じの小さな立て札だけでも良いのじゃないかな?なんて。
さて、食事ですが、こんな2月の閑散とした寒い時期の平日ですし、 賑 わっている町ではありませんから、アラカルトで変わったものをオーダーするのはどうかな?って感じもして、普通にコースメニューを注文しました。私は25 ユーロのもの、ダンナは35ユーロのもの。アペリティフにゲヴュルツトラミネールを注文しましたが、結構香りは薄くてさっぱりしていました。翌日この町の ワインセラーで試飲してみても分かったのですが、アルザスワイン街道の北の端のこの辺りは、もうそんなに濃厚な味のゲヴュルツトラミネールはないようです ね。ただし、お店の方のお薦めで頼んだリースリングは、砂岩質のヴィーべルスベルグ(Wiebelsberg)のものだったんですが、酸味がマイルドで すっごく 美味しかったです。私からもお薦めしたいワインなので、銘柄を記しておきます。
Wiebelsberg “Rieffel” 2004
Riesling Grand Cru
家族経営の小さなお店なんですが、この夜のお客さんは私達のほかには、アメリカ人観光客カップル、そして地元らしいご家族が1グルー プ。シェフやシェフの奥さんが この家族とアルザス語で会話したり、私達にもドイツ語でいろいろ話しかけてきてくださって、すごく家庭的な温かいおもてなしをしてくれるレストランだと 思いました。アミューズはとても簡単に、スペインオムレツのようなじゃが芋がたっぷり入ったパンケーキのようなもの。塩味がワインにあって、簡単だけどす ご く美味しい。
<entree>私は鮭のマリネ、ダンナはフォアグラのテリーヌ。どちらも作りおきできそうな感じで、閑散期にはピッタリって感じです よね。そして、鮭のマリネで想像するのって、やっぱり酢と油の味のする感じのものじゃないでしょうか。 でも、実際出てきたのは、少し厚めにそいだ鮭の身3枚。薄く塩味がするのですが、酢や油の邪魔な味は全くせず、それでも魚の臭みも全くなく、スモークサー モンのような 燻した香りもなく、まるで塩味のついたお刺身。 好みでルッコラのサラダとサワークリームと一緒に食べれば良いのですが、なんだかもったいないぐらい。さすがだね~って感じでした。
ダンナのフォアグラのテリーヌも、久しぶりに料理のプロが 作ったものを食べると、違いがわかって感動もひとしおですね。フォアグラのテリーヌは、デリカテッセンのお店やスーパーでも買えますし、うちの場合は義理 弟君が、趣味で良い材料をドイツの高級食材通販のBosfoodから買って自作したことがあって、どちらもそれなりに美味しいのですが、プロのは使うお酒 の味や香りもすごく良い具合に仕上がってるし、舌触りやテクスチャーも素人や大量生産では真似できない個性や繊細さが出てますね。さすが!
<poisson>ダンナはお魚のポワレ。下にはキノコのソテーと細切りに したビー ツが敷いてあったそうです。二人とも美味しさに感動して無心に自分のものを食べて しまったので、 味見させてもらうのを忘れてしまいました。というわけで、何のお魚だったのかも分からないまま。
<viande> 私のは簡単に鴨のコンフィ、シュークルート、そしてじゃが芋。なんてことない料理のようですが、これも本当に美味しい。鴨のコンフィはフランスへ 観光客として行くと、 食べる機会がよくあると思うのですが、肉自体の脂ののり具合も最高にちょうどよくて、皮はカリカリだし、見た目が地味なのが申し訳ないぐらい美味しかった で す。シュークルートも 余計な味がしなくて、これぞアルザスのシュークルートという感じでとっても美味しかったです。
<dessert>私はチーズ、ダンナはクグロフ・パルフェ。4種類のチーズ、どれも個性的なのですが、一つは個性的すぎて私には ちょっとバツでした。 アンモニア臭が出てきた感じの納豆そのものという感じで、黒胡椒が沢山まぶしてあるものの、ここまでアンモニア臭が強いとネギと辛子を入れてもご飯が におってしまいますよって感じの納豆って感じで、納豆好きの私もちょっと困惑しちゃうぐらいの個性的チーズ。フランス人はこれを食べて美味しいって言うの でしょうね。 だったら、納豆もきっと美味しいって思うはず。フランス人の納豆大丈夫率を調べてみたくなってしまいました。とにかく、自分では買わないような個性的チー ズを4種類も 試せて良い機会でした。納豆チーズ以外はとっても美味しかったですしね。ダンナのパルフェは小さなクグロフ型に入れて作られたアイスのようなもの。とても 美味しかったそうです。
さて、今夜のメニュー、どれも客足に左右されなさそうな閑散期の堅実的な内容って感じがしますよね。それにどれもバッチリ美味しかった ですし、アペリティフとワインを 一本飲んで二人で98ユーロ。大満足でした!!
La Cour des Tanneurs
Ruelle du Canal de l’Ehn, 67210 Obernai
tel: 03 88 95 15 70
火曜夜、水曜定休。 クリスマス~年始、7月上旬も休みのようです。
「アルザス食探訪3(下)」に続きます。